『#ヘボット!』第48話感想。メタネタでメタファーをやるなんて!

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[:ja] 

こんにちは、1週間に2回は『ヘボット!』を見ている渡辺です。

『ヘボット』48話が構造的に面白かったので、記事を書きます。

『ヘボット』とは

『ヘボット!』。それは日曜朝7時に放送されている子供向けギャグアニメです。

原案はバンダイ。そのため『仮面ライダー』シリーズのように玩具が充実しています。

主人公ネジル・ネジールとその相棒ロボット、ヘボットが、ボキャネジを集めてバトルする、というのが表向きのストーリー。

しかして本当のストーリーは、ループを重ねて滅びの運命を回避する、というもの。そういった謎の種明かしにもなっているのが、今週放送された第48話でした。

48話あらすじ

公式のあらすじはこちら

宇宙のバランスを保つネジ、「次元ネジ」の発動を食い止めるために、主人公たちが行動開始!でも発動しちゃったよ!というのが大まかな流れ。

主人公が世界がループしていることに気づくなど、ストーリー上重要な点も多々ありました。

中でも今回注目したいのが、「そもそも世界がループするようになった原因は何なのか」、その問いの答えです。

結論からいうと、西暦2016年、ぱんだい山の某玩具メーカーの社員、エース・オカが騒動の張本人でした。

彼女が作ったおもちゃ、ヘボットの試作品が、次元ネジを暴走させてしまったのです。

エース・オカの声優は岡香織さん。実は岡さん、バンダイの社員でもあります。というよりそっちが本業。

つまりループ構造は、世界観を丸ごと使ったメタネタだったのです。

エース・オカこと岡香織さんとは?

岡香織さんは、バンダイの社員さん。調べた限りでは、以下の2作品に関わっていることがわかりました。

2005年女の子向けゲーム『たまごっちのプチプチおみせっち』

プロデューサーとして、ゲームと雑誌の連動企画に関わっていたようです。

参照:3-2.『たまごっちのプチプチおみせっち』開発スタッフインタビュー

この記事だけみると、普通の人。

しかしその次がやばかった。

2008年男子の汗をふきとる乙女ゲー『DUEL LOVE 恋する乙女は勝利の女神』

主人公の女子高生が、格闘競技をしている男子を応援する、そんなゲームです。

その応援の一環が、タッチペンで男子の汗を拭き取る、といったもの。

ぶっ飛んでいます。

(ゲームの)プレゼン会場の参加者たちは皆、言葉を失った。

(中略)

さらにはその場にいたのが男性ばかりで、何が女性に受けるのかも分からない状況。「この子は何を言ってるんだろう、という扱いでしたね」と岡さんは苦笑する。

引用元:裸の男子の汗をふき、「ヘブン顔」を勝ち取れ――バンダイナムコ「乙女ゲー」開発秘話 (1/2) – ITmedia NEWS

このゲームは当時も話題になっていて、見出しの「ヘブン顔」も見た覚えがあります。

このような方が関わっている『ヘボット!』、ぶっ飛んでいないわけがありませんでした。

メタネタがそのまま世界観の説明、果ては親子関係の暗喩になっているなんて、想像がつきませんでした。

 

世界観としてのメタネタ:ループ構造と玩具の企画から販売終了まで

前述のように、『ヘボット!』はループものです。そしてそのループはネジのように、縦に積み重なっていきます。

全体として時間は進んでいく一方で、ループの中では時間と存在が繰り返されているのです。

この状況、まんま玩具・番組の展開に当てはめられると私は思います。

つまりこんな流れ。

  1. 『ヘボット!』本編までの繰り返し=玩具・番組の企画
  2. 『ヘボット!』本編の時間軸=玩具展開・番組の放送
  3. 『ヘボット!』世界の滅亡=玩具展開・番組の終了

メタ的な、つまり現実からの視点から見ることが、そのまま世界観の説明につながっているわけです。

普通メタって茶化しが多いじゃないですか。ただのギャグの一種。でも『ヘボット!』にではそんなことはありません。

メタファーとしてのメタネタ;人間社会の暗喩

そしてその構造の把握は、現実のメタファーにもなっています。

メタファーとは

メタファーとは

映画や小説、映画、漫画、デザインにまで、あらゆる表現のなかで使われる「たとえ」の技法のことです。

引用元:メタファーとは何か、驚くほど意味がわかる | ストーリーメーカー

つまり何かを別のもので説明すること。例えば人が死ぬシーンで、花が落ちたり火が消えたりするのがメタファーです。

 

子供と大人の関係

『ヘボット!』そのものと現実の関係が、子供と大人のメタファーになっていると私は分析しています。

共通点は、前者はそれ自身は自由にのびのびと生きているようで、実は後者の影響を受けているということ。

『ヘボット!』作品そのものは、子供向けとしては実に型破りなものです。

多すぎる情報、ギャグ、登場人物…その暴れぶりは「ニチアサの異端児」と評されるほど。

しかし一方で、現実、つまり玩具の売れ行きなどに影響を受けているのも事実です。

実をいうと、『ヘボット!』の玩具はあまり売れませんでした。それは放送中でさえ、主力商品が50%引きで売られるほど。

『ヘボット!』は玩具メーカー・バンダイが原案の作品。具体的にどう、とは言えないのですが、玩具の売れ行きが作品に影響を与えたのは確実だと思います。

同様に子供も、意識せずして大人の世界の中にいます。自由に遊んでいても、いつか大人の事情に左右される時が来る。私は違いますが、親の事情で泣く泣く転校する羽目になった、という方もいらっしゃるでしょう。

そういった子供と大人の対比が、『ヘボット!』ではメタネタを通して描かれているのです。

ちなみにこの関係は、直接的にも描かれています。世界の崩壊を止めようとする大人たちと、そんなことよりネジを求める子供たち。そのバランスが崩れるのも、第48話です。

『ヘボット!』第48話、Youtubeで無料配信中

そんな『ヘボット!』第48話、9月18日12時までYoutubeで無料配信されています。おすすめです。

(2018/1/5 更新)

1月7日まで、48話を含む26話が「GYAO!」にて配信されています。

ヘボット![B-ch] 第48話 ネジが島さいごの日-動画[無料]|GYAO!|アニメ

「気になるけど、48話からじゃついていけなそう…」という方には、dTVがおすすめ。初月無料で、『ヘボット』は45話まで配信されています。

ストーリーを追うだけならば、1、17、23、29、44話をみればなんとなくは把握できます。それ以外のおすすめは以下の記事から。

【目的別】アニメ #ヘボット!エピソード5選×3 | ワタナベトモ記

実は奥が深いアニメ、『ヘボット!』。見ていただけると幸いです。[:en] 

こんにちは、1週間に2回は『ヘボット!』を見ている渡辺です。

『ヘボット』48話が構造的に面白かったので、記事を書きます。

『ヘボット』とは

『ヘボット!』。それは日曜朝7時に放送されている子供向けギャグアニメです。

原案はバンダイ。そのため『仮面ライダー』シリーズのように玩具が充実しています。

主人公ネジル・ネジールとその相棒ロボット、ヘボットが、ボキャネジを集めてバトルする、というのが表向きのストーリー。

しかして本当のストーリーは、ループを重ねて滅びの運命を回避する、というもの。そういった謎の種明かしにもなっているのが、今週放送された第48話でした。

48話あらすじ

公式のあらすじはこちら

宇宙のバランスを保つネジ、「次元ネジ」の発動を食い止めるために、主人公たちが行動開始!でも発動しちゃったよ!というのが大まかな流れ。

主人公が世界がループしていることに気づくなど、ストーリー上重要な点も多々ありました。

中でも今回注目したいのが、「そもそも世界がループするようになった原因は何なのか」、その問いの答えです。

結論からいうと、西暦2016年、ぱんだい山の某玩具メーカーの社員、エース・オカが騒動の張本人でした。

彼女が作ったおもちゃ、ヘボットの試作品が、次元ネジを暴走させてしまったのです。

エース・オカの声優は岡香織さん。実は岡さん、バンダイの社員でもあります。というよりそっちが本業。

つまりループ構造は、世界観を丸ごと使ったメタネタだったのです。

エース・オカこと岡香織さんとは?

岡香織さんは、バンダイの社員さん。調べた限りでは、以下の2作品に関わっていることがわかりました。

2005年女の子向けゲーム『たまごっちのプチプチおみせっち』

プロデューサーとして、ゲームと雑誌の連動企画に関わっていたようです。

参照:3-2.『たまごっちのプチプチおみせっち』開発スタッフインタビュー

この記事だけみると、普通の人。

しかしその次がやばかった。

2008年男子の汗をふきとる乙女ゲー『DUEL LOVE 恋する乙女は勝利の女神』

主人公の女子高生が、格闘競技をしている男子を応援する、そんなゲームです。

その応援の一環が、タッチペンで男子の汗を拭き取る、といったもの。

ぶっ飛んでいます。

(ゲームの)プレゼン会場の参加者たちは皆、言葉を失った。

(中略)

さらにはその場にいたのが男性ばかりで、何が女性に受けるのかも分からない状況。「この子は何を言ってるんだろう、という扱いでしたね」と岡さんは苦笑する。

引用元:裸の男子の汗をふき、「ヘブン顔」を勝ち取れ――バンダイナムコ「乙女ゲー」開発秘話 (1/2) – ITmedia NEWS

このゲームは当時も話題になっていて、見出しの「ヘブン顔」も見た覚えがあります。

このような方が関わっている『ヘボット!』、ぶっ飛んでいないわけがありませんでした。

メタネタがそのまま世界観の説明、果ては親子関係の暗喩になっているなんて、想像がつきませんでした。

 

世界観としてのメタネタ:ループ構造と玩具の企画から販売終了まで

前述のように、『ヘボット!』はループものです。そしてそのループはネジのように、縦に積み重なっていきます。

全体として時間は進んでいく一方で、ループの中では時間と存在が繰り返されているのです。

この状況、まんま玩具・番組の展開に当てはめられると私は思います。

つまりこんな流れ。

  1. 『ヘボット!』本編までの繰り返し=玩具・番組の企画
  2. 『ヘボット!』本編の時間軸=玩具展開・番組の放送
  3. 『ヘボット!』世界の滅亡=玩具展開・番組の終了

メタ的な、つまり現実からの視点から見ることが、そのまま世界観の説明につながっているわけです。

普通メタって茶化しが多いじゃないですか。ただのギャグの一種。でも『ヘボット!』にではそんなことはありません。

メタファーとしてのメタネタ;人間社会の暗喩

そしてその構造の把握は、現実のメタファーにもなっています。

メタファーとは

メタファーとは

映画や小説、映画、漫画、デザインにまで、あらゆる表現のなかで使われる「たとえ」の技法のことです。

引用元:メタファーとは何か、驚くほど意味がわかる | ストーリーメーカー

つまり何かを別のもので説明すること。例えば人が死ぬシーンで、花が落ちたり火が消えたりするのがメタファーです。

 

子供と大人の関係

『ヘボット!』そのものと現実の関係が、子供と大人のメタファーになっていると私は分析しています。

共通点は、前者はそれ自身は自由にのびのびと生きているようで、実は後者の影響を受けているということ。

『ヘボット!』作品そのものは、子供向けとしては実に型破りなものです。

多すぎる情報、ギャグ、登場人物…その暴れぶりは「ニチアサの異端児」と評されるほど。

しかし一方で、現実、つまり玩具の売れ行きなどに影響を受けているのも事実です。

実をいうと、『ヘボット!』の玩具はあまり売れませんでした。それは放送中でさえ、主力商品が50%引きで売られるほど。

『ヘボット!』は玩具メーカー・バンダイが原案の作品。具体的にどう、とは言えないのですが、玩具の売れ行きが作品に影響を与えたのは確実だと思います。

同様に子供も、意識せずして大人の世界の中にいます。自由に遊んでいても、いつか大人の事情に左右される時が来る。私は違いますが、親の事情で泣く泣く転校する羽目になった、という方もいらっしゃるでしょう。

そういった子供と大人の対比が、『ヘボット!』ではメタネタを通して描かれているのです。

ちなみにこの関係は、直接的にも描かれています。世界の崩壊を止めようとする大人たちと、そんなことよりネジを求める子供たち。そのバランスが崩れるのも、第48話です。

『ヘボット!』第48話、Youtubeで無料配信中

そんな『ヘボット!』第48話、9月18日12時までYoutubeで無料配信されています。おすすめです。

https://www.youtube.com/watch?v=EQMJlCnCoS0

「気になるけど、48話からじゃついていけなそう…」という方には、dTVがおすすめ。初月無料で、『ヘボット』は45話まで配信されています。

ストーリーを追うだけならば、1、17、23、29、44話をみればなんとなくは把握できます。それ以外のおすすめは以下の記事から。

【目的別】アニメ #ヘボット!エピソード5選×3 | ワタナベトモ記

実は奥が深いアニメ、『ヘボット!』。見ていただけると幸いです。[:]