哲学の名言「だけ」を知る無意味さ

この記事は1年以上前に書かれたものです。
情報が古い可能性があります。

こんにちは、哲学専攻の渡辺智基(@twokk1994)です。

「哲学」とググると、関連キーワードに「哲学 名言」と出てきます。そしてそれでググると、哲学の名言一覧なんてものが出てきます。私はこれが好きではありません。その言葉の内容が誤解され、ただ耳障りのいい文になることを恐れているからです。

言葉の前後には文脈がある

哲学の名言は、大抵はある論文のほんの一部を抜粋したものだと思います。その名言にいたるまでの、加えてその名言から紡ぎ出される論理があるわけです。その論理を把握せずして名言を理解した気になるのは、誤解を招きます。マスコミの意図的な報道を揶揄した「マスゴミ」と言う言葉がありますが、それとやっていることは同じ。

哲学には専門用語がある

他の学問と同様、哲学にも専門用語があります。そしてその専門用語には2種類あります。「見た目も意味も専門的なもの」と、「見た目は一般的だが、その意味が専門的なもの」です。

見た目も意味も専門的なもの

例えば「哲学的ゾンビ」など、一目見て「こういう意味だ」という確信の持てないものです。これは読んだ人も「この単語の意味がわからない」と把握できるので、ここで問題にはしません。

見た目は一般的だが、その意味が一般的でないもの

厄介なのがこちらのタイプです。哲学は一般的な概念について、一度立ち止まって再考するものです。例えば「善」だとか「責任」だとか。その時、そういった概念は分析されなくてはなりません。そうしないとその概念が曖昧すぎて、議論が進まないからです。例えば「善」を語るにしても、誰による誰のためのものなのかとか、それは社会全体としてのものか個人としてのものか、などで議論の方向性は変わってくるでしょう。

そういった前提を無視して、名言だけで考えるのは危険です。見た目が同じだからって、一般的な概念としての言葉と、特定の論理の中にある言葉を結びつけてしまっては、間違った解釈が生まれるのは当然のことなのです。

名言は入り口。それだけで完結するものではない

とここまで名言「だけ」で理解することをディスってきましたが、名言にもメリットがあります。それは哲学を学ぶ入り口になる、と言うことです。もし哲学の名言を見て感銘を受けたなら、その人の考えをより深く調べてみて欲しい。あなたの意見がその人のものと一致することもあれば、あなたが自分の勘違いに気づくことだってありうるでしょう。そのどちらでもいい。それで哲学に触れただけでも、意味のあることだと思います。

おすすめ哲学入門書

「そうは言っても、哲学をどう学んだらいいかなんてわからない!」て方もいると思います。そんな方のために3冊、哲学の入門書を紹介します。

『世界十五大哲学』

大まかな哲学史と、15人の哲学者の考えがまとめられた本です。この本をおすすめしたい最大の理由は、それぞれの哲学者が生きた時代背景と、その論理のつながりが説明されていること。その哲学者の人生も学べて哲学との距離が近くなるので、おすすめです。

参照:Amazon | 世界十五大哲学 (PHP文庫) | 大井 正, 寺沢 恒信 | 哲学 通販

『史上最強の哲学入門』

『世界十五大哲学』よりもっとカジュアルな本。トピックごとに、関連する哲学者の意見を紹介していく、という形式です。図もあってわかりやすいので、とりあえずかじってみたい、て人におすすめ。

参照:Amazon | 史上最強の哲学入門 (河出文庫) | 飲茶 | 西洋哲学入門 通販

『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』

その名の通り、前述の本の東洋版です。ただし紹介の順番はトピックごとから、ある程度時系列に沿ったものになっています。

参照:Amazon | 史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (河出文庫 や 33-2) | 飲茶 | 東洋哲学入門 通販

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

CAPTCHA